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黒潮社 月刊タイル2001-4-No.465掲載

パソコン活用による新受注獲得法2

積算業務の移行

 従来の積算業務は、元請けであるゼネコンがまず積算を行い、エンドユーザーから受注してから後に、下請けからの見積もりを受け、調整して発注業務を行っていた。しかし、近年、工事量の減少に伴い、ゼネコンにおける積算者の削減、経験者の高齢化などによって積算部門の縮小が進み、ゼネコンの工事受注の際の積算も下請け業者移行されてきた。


積算業務内容の変化

 ゼネコン、積算事務所が算出する数量は、主に設計数量と呼ばれるもので、施工業者が算出するのは、施工に必要とされる数量、つまりロス分を含んだ数量として捉えられている。しかし、数量に関しては明確な線引きがされているわけではなく、かなり入り混じった形で見積書が作成されている。前述の通り、積算業務が下請けに移行されたことから、数量はほとんどが施工数量とみなす必要が出てきている。しかし、ここでロス分をどう見ていくかが問題となってくる。ロス分からの見方は各社各様で、社内の個人によっても、その見方は異なっている。


ロス分根拠の明確性

 工事店にとってロス分の見方は、損益を大きく左右する。材料の形状、施工方法、現場の状況など単純に見極められるものではないが、何らかの根拠が必要となる。この点においては、業者間の(元請−下請)信頼関係に依存しているのが現状である。しかし、その信頼関係は個人レベルのもので、近年の情勢の変化から大きく崩れ始めているのが実情。特定のゼネコン傘下にあれば、受注が確保される保証はどこにもなく、自らの力で受注を確保していく、自己防衛の時代に突入している以上、何らかの対策が必要となっている。


現状の積算業務とは


 積算する能力は特殊な技術であることは言うまでもない。しかし、現状では受注できるか、どうかわからない工事に関して、総合的な能力を持った人材が時間を割いている。これでは利益の見込める、工事の受注か否かを考え積算するという、これまた特殊な能力が必要になってしまう。建設の有名な言葉に「最初に受注ありき」という言葉があるが、見積を提示しない限り、受注はあり得ないのは当然の結果である。

 ここで認識する必要があるのは、積算業務は特殊技術でありながら、サービス業務であることを認識すること。サービスである以上コストはかけられないし、一方では見積を提示しないと受注はあり得ないというジレンマに陥ってしまっているのが現実である。


パソコンでできる積算の分業化

 積算業務は、「数量拾い」と「見積書の作成」に分割することができる。「数量拾い」は図面の見方さえわかれば殆どが縦横計算の積み重ねである。数値を読み(スケールで読み)、それを転記し、電卓で集計する作業の繰り返しで、この部分をパソコンで補えば、大幅な省力化が可能となる。当然、パソコンにはソフトウェアが必要で、このソフトウェアに積算者のノウハウが盛り込まれていれば、誰が拾っても、その積算者と同し結果が得られるはずだ。ポイントは自分の考えに合ったソフトウェアを選ぶか、作成するかである。

「見積書の作成」は、積算の最終工程であり、損益を決定する最も大切な業務。項目の計上の仕方、ロス分、経費の設定等、提出先に対しての見積の妥当性をアピールすることができるかによって、少しでも有利な受注を目指すことが肝要だ。提出価格のシュミュレーション、過去の提出データとの比較、これらを元に簡単に作成できる仕組みを作る必要がある。この部分においても、パソコンは大いにその威力を発揮することができる機械である。

 以上は、個人レベルの分業化で、個人の計算、集計、転記、清書をパソコンに負担させる例。これらの使い方を十分にマスターした上であれば、パソコンの操作を含めて、他人に引き渡すことができるという最も有効な分業化となる。受け渡された人は何度か積算を繰り返していくうちに、自然に積算業務をマスターしていくことになり、企業にとって強力な戦力アップにつながる。


システムの導入方法について


 まず、今一番困っている業務は何かを見つけることが第一。大まかに考え、その業務をひとつずつ分解していくことから始める。次にその一部がシステムによって改善されるかどうかを検討していく。この作業を繰り返し行い、求めるシステムの形、機能を具体化する。多機能、連動性の高いシステムは、使う人を限定し、かえって混乱を引き起こす結果となる。すべての業務は使える人に集中し、決して効率は上がらない。なるべく単純で、誰でもが使える環境を整え、ステップアップしていくことがスムーズで確実なシステム導入の方法である 。